100%芭蕉紙~糸芭蕉のいのちを全て生かしたい~ 4/5

 染織工房 バナナネシア

 福島泰宏 さん・福島律子 さん
 ふくしまやすひろ   ふくしまりつこ

 住所 : 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味280

 HP : 染織工房 バナナネシア

 Youtube : 沖縄:芭蕉紙 バナナネシア

芭蕉布の原料栽培から織り、染めまで全工程を自ら手がける「染織工房バナナネシア」さん。
ご主人の福島泰宏さんは糸芭蕉の栽培と芭蕉布の製作、奥様の律子さんは紅型(びんがた)染をされています。
そんなお2人が10年前から新たに手がけているのが「100%芭蕉紙」。
2011年10月下旬、お2人の工房にお邪魔し芭蕉、沖縄、伝統工芸など多岐にわたるお話を伺ってきました。

沖縄の伝統工芸 ~分野を超えて~

   
律子 瀧さんのHPみてて、皆さんキレイな所でお仕事されてるねって、言ってたんですよ。他県の職人さんもきれいな工房で仕事されてて。
伊藤 そうですか!?そういえば、使用していない漉き場を他県から来た若い人に提供して、シェアしている和紙産地もあるみたいですよ。
律子 新しいやりかたですね。すごくいい!大宜味村の喜如嘉(芭蕉布の産地)も後継者育成という事で大きな場所を提供して教えてはいるんですけど、いかんせん、そこから独立というのが難しくて。もう何十年も後継者育成事業はされているけど数えるくらいしか独立されてないんですよ。県外でも芭蕉布は認知度は高くて、県外出身者がやっているケースが多い。
 バナナネシアさんの芭蕉畑。夕暮れ時の畑は幻想的。
伊藤 芭蕉布といえば、女性が副収入を得る為に携わることが多かったと思うのですが。今は事情が違うのでしょうか?
泰宏 最近は従事者が大分減ってきていますから。
律子 今まで糸紡ぎを高齢者に頼っているところがあったので、限界がありますよね。
以前ならお年寄りが一人暮らしをしていても、糸紡ぎに友達同士が集まって、収入があって、という事で作業場に集まってきたけれど、最近はデイケア施設で仲間に会う方が多いらしくて。今までの糸紡ぎの形も崩れちゃって大変だと思います。
伊藤 難しいところですね…しかし、紅型染めもそうですが、県外出身者が地方の伝統工芸に従事するケースも増えているようですしね。越前和紙でも県外から来られる若い人もいらっしゃって、自治体が安く住宅を提供できるように援助したりしています。
律子 いいですね!でも若い時期は、そこから所帯を持つというところが課題ですよね。
伊藤 紅型の職人さんも、なかなか生活も厳しいとは聞いています。
律子 沖縄の伝統工芸はみんなこんな感じ。時間がかかる。顔料を作るのも時間がかかるからね。機材もミルがある人はいいけど、そうじゃない人は人力だから、大変よ。
泰宏 私たちの場合、たまたま織物以外の分野の人が「外に出した方がいいよ」ってアドバイスしてくれたんですが、芭蕉紙もそうなんですよね。
「沖縄の紙を考える会」というのがあって、その時は有名企業が補助金を出してくれて、展示会とか冊子を作って、僕らは紙専門じゃないけどこういう所に紹介してくれたりして。
伊藤 人の目に触れるには、積極的に出していかないと、ですね。
律子 10年前に出し始めて、やっと瀧さんまで辿り着いた、みたいなね(笑)
伊藤 おかげでお2人にお会いすることもできましたし、沖縄まで来させていただけました(笑)
 取材の際、偶然見かけた琉球の伝統舞踊「四つ竹」。衣装には紅型の模様が施されている。

 

スタッフ伊藤の”はいたーい、沖縄!” 4/4

スタッフ伊藤が「バナナネシアさん」にたどり着くまでのきっかけ(?)を書いてみようと思います。

 

那覇空港から首里までを繋ぐモノレール「ゆいレール」。
おかげで移動がラクになりました。

病み上がりに思いつきで飛んだ沖縄でしたが…

偶然旧盆とバッティング。大好きな道ジュネー(旧盆にエイサー団が家を一軒ずつ巡り踊る)を鑑賞でき、紅型作品を見てまわり、大好きな場所へドライブし、新しくできた友人と酒を酌み交わす。 

 

それまでの寝たきり生活が嘘のように動きまくり、心身ともに始終ワクワクしていました。

 

この旅で“沖縄愛”を再確認した後、紆余曲折を経て9年近く勤めた会社を辞めます。

 

そして退社してすぐ“紅型に触れる”をテーマに沖縄へ旅立ちます。

 

古典柄の紅型。美しすぎます・・・

博物館で紅型の資料をじっくり眺め、紅型体験をし、伝統ある紅型工房をふらりと訪れました。

 

徐々に抑えきれなくなる紅型熱!

 

ついには紅型職人になりたいと思うまでになり、修行させてもらえる工房も目星を付けました。

しかし、家庭の事情によりあえなく断念。

ならばせめてもの思い出に、と、1ヶ月のぷち紅型修行と称して再び沖縄へ。
よい先生に巡りあえたおかげで、図案起こし、型彫り、色挿しまで一通りの工程を繰り返し経験できました。

 

ワークショップで作ったコースター。
デザイン起こしにひと苦労。

紅型職人への夢は断念したものの、沖縄での伝統工芸への目覚めがきっかけで地元の工芸にも関心を持つようになった私。

 

その後、導かれるようにして越前和紙の地元でタキペーパーへ就職することになるのでした。

 
紅型と紙。

もう2度と行きたくないとさえ思っていた地、沖縄に何度も訪れることになった事がきっかけでつながった不思議な縁。

バナナネシアさんとの出会いは、沖縄の文化、伝統、そして人がつなげてくれたものなのです。

(完)

 

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