紙の王様「雁皮紙」作り

山口良喜さん・山口任俊さん

有限会社山喜製紙所

山口 良喜 さん・山口 任俊 さん
やまぐち よしき    やまぐち ひでとし

住所 : 福井県越前市大滝町31-20

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電話番号 : 0778-43-0526
Youtube:
→紙王 : 雁皮紙 (がんぴし)

今回は越前市の(有)山喜製紙所さんで雁皮紙を漉かされる様子を取材しました。雁皮紙(がんぴし)は楮の繊維の強さと三椏の光沢の両方を兼ね備えた『紙の王様』とも称される和紙です。また虫害・退色に対しても強いため和紙の中でも永年性が最も高いものでもあります。今回は雁皮100%で作られた純雁皮紙です。

ひとつひとつの動きがピタリピタリ

前回の取材から二週間ほどして、今日は漉き上げる作業から一気に最後まで作業を終わらせるとの話しを聞いて早速お伺いしました。

到着したときには既に次々に漉き上げているところでした。

雁皮紙を一気に漉き上げます

今回漉く雁皮紙は薄様(うすよう)と呼ばれる非常に薄いタイプのものになります。そのため、漉き方にも特徴があります。

大きくサッと水をすくってからは、揺らし方は小さく細かく、そして丁寧に、しかしリズミカルに次々に漉いていきます。ちなみに和紙独特の漉き方である流し漉きは、この雁皮が粘りをもともと持っていたのがヒントになったのではとの見方もあるようです。

今回は薄い紙(薄様)のため、漉いた和紙と和紙との間に木綿の布を挟みこみます。この木綿はシーツなどに使われる一般的なものとのこと。

雁皮の上に木綿をかぶせます

ほかの作業をしているおばちゃんも漉き上げるタイミングを見計らい2人で木綿の布を掛けます。まさに阿吽の呼吸です。

この後は、板に貼り付ける作業です。全部漉き上げて、午後にはすぐに板張りするとのことでしたので、邪魔にならないよう改めてお伺いすることにしました。

午後お伺いすると、板に貼り付ける作業と同時に、先に貼り込んでいた雁皮紙を剥がす作業が進んでいます。

貼り込んでいた板を室から出します

板に貼り付けて木綿を剥がす作業は一見、何気ないようでスムーズそのものです。

雁皮紙を貼りこみます

しかしこの作業。見ているのと実際にやるのとでは大違い。漉き上げた雁皮紙を重ねた紙床から一枚一枚めくりあげるとき、そして板に貼り付けて補強していた木綿を剥がすとき。ここで少しでもボンヤリとしていると、薄く仕上げた高価な雁皮紙は途中で破けたり、拠れて一部重なってしまって商品にならなくなってしまいます。

同様に先に貼り込んでいた雁皮紙を竹へらを差し込んで剥がす際も、慣れていないと破けてしまうことになってしまいます。その点、さすがは山口良喜さん。薄様の雁皮紙ならではのパリッパリッと心地良い音と共にキレイにはがれます。

板から雁皮紙を剥がします

キピギピと雁皮紙を張り込んでいく山口良喜さん。話しをしているうちに、あっという間に全部張り込んでしまいました。

ひとつひとつの動きがピタリピタリと決まっているので無駄がありません。丁寧でありながら実に仕事が速い。これぞ熟練の仕事ぶりです。

「やっぱり凄い職人芸ですねぇ」と言うと、

「いやぁ、そんな大したことないよ。小さい頃から見よう見真似で毎日家の仕事手伝っていたから」

と、あっさり。

いえいえ、それこそ職人芸です。

今回取材した雁皮紙。炊き上げた段階でツヤツヤしていたのが実に印象的でした。チリ取りをするときの状態では、キュッキュッと音がしそうなくらい。雁皮紙の艶はすでに炊き上げた時点から見えているのだと実感。

そして高価な材料だけに取り扱いもいつもに増して繊細になっていること。そして板干しの板から剥がす際のパリパリッとした心地良い音が実に印象的でした。